骨髄とは血液をつくる工場のような場所です。全ての血球は造血幹細胞からつくられ、骨髄の中で白血球(リンパ球を除く)や赤血球、血小板が分化成熟します。末梢血(手・足・首の血管から抜いた血液)における血液成分の異常が骨髄にあると思われる場合(ex.原因不明の貧血、血小板減少など)や、リンパ腫や白血病の診断のために、骨髄検査を実施することがあります。
ジャムシディ骨髄針を使用して、上腕骨や大腿骨から骨髄を採取します。
採取した骨髄液をガラスに薄くのばしてライトギムザ染色をし顕微鏡で観察します。細胞の充実性や骨髄球系/赤芽球系比、巨核球の有無をチェックします。
さらに拡大し詳しく細胞をチェックします。顆粒球系、赤血球系のそれぞれの分化が正常に行なわれているかをみていきます。異常な細胞が出現してないかなどもチェックします。採取した検体を検査会社に送り、細胞診専門の先生に検査を依頼することもあります。
痛みを伴う検査なので、全身麻酔下で実施していきます。特殊な検査なので頻度多くやる検査ではありませんが、抹消血液では分からない確かな情報を得ることができます。
愛犬・愛猫ちゃんに気になることがあれば何でもお気軽にご相談ください。セカンドオピニオンも受け付けております。よろしくお願いいたします。
8才のボーダコリーを飼っています。
骨髄炎と言われ、この先CTと骨に太い針を
刺して検査をする事になると、それでも骨に
菌がなければ検査のしようがないと言われております。そもそも本当に骨髄炎なのかが
知りたいです。
全身麻酔をして検査をしても分からない場合があるのですか?わからなかったら、次の
検査はないのでしょうか?
あと、右手肘の下の骨が腐骨してこの先骨折すると思うけど何も出来ないと言われました。治療法はないのでしょうか?
富野様、コメントありがとうございます。
愛犬ちゃんが骨髄炎疑いとのことですね。お見舞い申し上げます。
ちなみに骨髄炎の診断を受けた患肢は右前肢でよいでしょうか?びっこをひいている状態でしょうか?右肘が腐骨化しているのは何かきっかけはありましたでしょうか?レントゲンを確認できないためはっきりとは言えませんが、鑑別診断としては、骨髄炎、骨の腫瘍(原発/続発)、汎骨炎などが挙げられると思います。検査としてはご記載の通りCTでの詳しい画像評価、骨髄穿刺や生検による細胞診・組織診(病理検査)・細菌培養/薬剤感受性検査になると思います。
右肘腐骨に対しては、検査が済んでしまえば試験的に抗生剤の使用や消炎鎮痛剤などの緩和ケアを行いつつ、検査結果が出るまで対応することはできると思います。結果によって、菌が出る(細菌性骨髄炎)なら感受性のある抗生剤を長期投与しますし、腫瘍性疾患であればそれに対する外科治療や化学療法が検討されると思います。しっかりかかりつけさんと相談して今後の検査・治療方針を検討してください。愛犬ちゃんの治療がうまくいくことを願っております。
あくまで実際に診察したわけではありませんので一つの参考意見と捉えてください。よろしくお願いいたします。