A2

犬の胃内異物(スーパーボール)

症例は3歳の柴犬です。約半年前から間欠的な嘔吐を認めており、昨日から元気や食欲がないとのことで来院されました。

腹部の超音波検査にて、胃と十二指腸の間の幽門と呼ばれる部分に大きさ3㎝の球状異物が確認されました。幽門部で完全に閉塞しているため胃内には大量の液体貯留が認められました。異物のうつり方としては完全な球体で典型的なスーパーボールの見え方をしていました。スーパーボールはレントゲンでは写りませんが、超音波検査ではこのように検出されます。

A1 A2

診断:異物(スーパーボール)による幽門閉塞

 

一本道である消化管の完全閉塞です。放っておくと状態は悪化していくことが予想されますので早急に外科的摘出を実施していきました。

上腹部正中切開にてアプローチしていきます。開腹すると幽門部にがっちりはまった異物が触知されました。

DSC02934 DSC02935

極力幽門部での切開は避けていきますので、異物を指で胃体部に押し戻し、胃体部での切開にて摘出を行っていきました。

DSC02937 DSC02941DSC02942 DSC02948

摘出後は胃内に停滞していた液状物を吸引し、切開した部分を粘膜2層内反縫合で閉鎖し終了です。

DSC02943 DSC02945 DSC02947

 

術後の回復はスムーズで、2週間後の抜糸時にはもう全く吐くことはなく、元気も食欲も問題ありませんでした。

慢性的に吐き気が続いている場合、お腹の中に原因が隠れている可能性があります。原因によって治療法は変わってきますのでまずはしっかり検査・診断をしていくことが大切です。

 

愛犬・愛猫ちゃんに変わったことがあれば何でもご相談ください。よろしくお願いいたします。