症例は3ヶ月の仔猫ちゃんです。
外でぐったりしているのを保護されて連れてこられました。身体検査にて、元気や食欲など問題ありませんでしたが、左眼が潰れて内部の組織が脱出し、肉芽を形成している状態でした。黄色の目ヤニも出ており細菌感染も起こしていました。恐らく、カラスなどに突かれて潰れてしまったと考えられます。
左眼は目として機能していないため、さらに細菌感染の温床となるだけなので外科的摘出が奨められます。本症例はまだ仔猫で体が小さかったため約2ヶ月内科的に管理し、体重が2kgを超えた時点で全身麻酔をかけて処置をしました。
眼球の裏側には複数の筋肉や視神経、血管などが存在しており、眼を支えています。これを一つ一つ外して眼球を摘出していきます。また、まぶたや瞬膜(第三眼瞼)といった組織も残しておくと術後に問題となるためしっかり切除していきます。
術後は少し痛々しいですが、2週間後にはすっかりきれいに治癒していました。本人も左眼部分を気にすることはなく、生活も全く問題なくできているとのことでした。
【術後】
【2週間後】
今回の症例は、眼の機能を完全に失っており、形態的にも温存することが難しく、残ったままだと感染の温床となり痒みや自傷による出血などを起こしてしまうため摘出していきました。
愛犬、愛猫ちゃんに変わったことがあればいつでもご相談ください。よろしくお願いします。
はじめまして。貴院の猫の眼球摘出のブログを拝見しました。我が家に9月からきた保護猫が緑内障で眼球摘出手術が必要と言われました。年齢は推定で4〜5ヶ月の子猫です。豊中の動物眼科専門クリニックにかかっています。2月頃に手術の予定なのですが、貴院のブログの術後の写真がきれいな状態だったので、手術の仕方が同じなのかとても気になりました。少しでも陥没せず、傷口が小さく出来る方法があればと色んな病院の情報をさがしておりました。
貴院の写真を見るとただ目を閉じただけのように見え、痛々しさも感じませんでしたので、一度ご相談したいと思いました。
宅間さま、コメントありがとうございます。
眼球摘出は確かに術後に皮膚が陥没することは避けられないです。しかしそれを少なくするために意識していることを記載させていただきます。緑内障の原因が腫瘍でなければ眼球のみを摘出するだけでよいので眼窩にある脂肪や筋肉などの支持組織を極力残すように心がけて摘出をするようにしています。また、まぶたや瞬膜を残すと涙や眼脂が出てしまいますのでそれらもしっかり摘出後、きれいに並置するように縫合しています。当院では摘出後にシリコンボールなどは入れておりません。愛猫ちゃんの手術が無事に済むよう願っております。
あくまで本人の状態を診察したわけではありませんので一つの参考意見ととらえてください。何卒よろしくお願いいたします。
はじめまして。
ブログを拝見いたしました。
お教えいただきたく、コメントを書かせていただきました。
私の猫も緑内障で昨年10月に眼科専門病院にて目の摘出手術を受けました。経過は順調で抜糸も済み、通院は終了となりました。
気になるのは摘出後の目が深く陥没してしまっている事です。
見た目だけの事でしたら良いのですが、将来的に何か炎症が起きたり、痒みなど不快感が出たりする可能性はないでしょうか(今の時点では気にするような仕草はありません)
本来なら手術をしてくださった先生に訊くべき事をこちらに書いてしまい、申し訳ありません。
どうぞ宜しくお願い申し上げます。
井上さま、コメントありがとうございます。
眼球摘出後の皮膚の陥没は大なり小なり避けられないことです。術後すでに3ヶ月以上経過しており痛みや炎症など起きてないようであれば、今後特に問題となるようなことは少ないと考えられます。
あくまで本人の状態を確認したわけではありませんので一つの参考ととらえて下さい。愛猫ちゃんの健康を祈っております。よろしくお願いいたします。
お忙しいところ、丁寧にご返答いただきありがとうございました。
どんどん深く陥没してゆくので心配でしたが、とても安心いたしました。
これからも観察は続けようと思います。
この度はお忙しいなか、本当にありがとうございました。
初めまして。
現在2歳ですが
保護されてカラスにつつかれてたので眼球摘出されました。
目はふさがらす空いた状態で
時々少し出血して
自分で綺麗にしています。
でも目を開けると(細めにですが)
むき出しなので心配です。
保護施設から引き取ったあと
病院に連れていきましたが
麻酔のリスクもあるので
このままで大丈夫でしょうと
言われました。
大丈夫でしょうか?
寿命が短くなりませんか?
元気いっぱいですが。
よろしくお願いします。
河野様、コメントありがとうございます。
愛猫ちゃんが眼球摘出を受けているとのことですが、眼が空いた状態というのはまぶたが残っているとのことでしょうか?当院では眼球のみの摘出ではなく周囲の構造物(眼瞼や瞬膜など)を一緒に摘出し皮膚同士合わせてを縫合閉鎖しますので、術創は皮膚が癒合・治癒していきます。
直接寿命に影響することはないと思われますが、残存している眼瞼や瞬膜、結膜の構造物に間欠的な感染や炎症が起こっていることが予想されます。その都度の点眼薬によりコントロールは可能でしょうが、根本解決には残存組織をしっかり取りきることが必要だと思われます。かかりつけさんとしっかり相談していただければと思います。
あくまで直接診察したわけではございませんのでひとつの参考意見ととらえてください。愛猫ちゃんの健康をお祈りしております。何卒よろしくお願いいたします。