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症例紹介 猫の視覚消失(目が見えない)

症例は14歳の白黒猫ちゃんです。

1週間くらい前から見えづらくなり、3日前から全然見えなくなってる様子とのことで来院されました。まず身体検査にて、両眼とも瞳孔が開いていました(散瞳)。視覚のテストや光に対する反応をみても全く認められません。

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眼科検査(眼底検査、エコー検査など)にて、視覚消失の原因は網膜剥離と判明しました。今回起きている網膜剥離は胞状(水ぶくれ)に発生しており、しかも両眼に起こっています。通常、人(例えばボクサーなど)が外傷性に起こす網膜剥離は片側性に起こします。

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考えられることは全身性の疾患で強い炎症や高血圧が起きた結果、両側性に網膜剥離が引き起こされたということです。本症例も血圧測定をすると収縮期血圧240㎜Hg/拡張期血圧183㎜Hg(平均206㎜Hg)と重度の高血圧が認められました。

猫ちゃんで高血圧を起こす疾患は腎不全と甲状腺機能亢進症が代表的です。血液検査にて腎不全ステージⅡが認められ、腎性高血圧を起こしていることがわかりました。甲状腺ホルモンの数値は正常でした。

 

よって、腎性高血圧により両眼性の網膜剥離を引き起こし、視覚消失に至った(高血圧性網膜症)と診断されます。

 

内服薬にて腎不全のケアと血圧を下げる治療を行っていきます。10日後には血圧160-170/110-120(130-140)㎜Hgと改善傾向にあり、光に対する瞳孔の反応も少しずつ認められてきました。しかし、まだ視覚は戻っていません。

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降圧剤のお薬を注意しながら増量し、約1か月後には血圧は正常な数値まで下げることが出来ました。121-145/82-99(100-109)mmHgです。眼の光に対する反応は戻り、瞳孔はしっかり縮んでおり普通の猫ちゃんの顔に戻りました。視覚は微妙な反応ですが、家ではたまに見えてるかな~と思うこともあるとのことでした。

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現在2か月ほどたちますが、血圧は良好にコントロールされており、腎不全の悪化もなさそうです。視覚の完全な回復は難しいかもしれませんが血圧および腎臓のケアを続けていき、注意しながら経過観察を続けていくことになります。

 

ヒトと一緒で高血圧は怖いですね。

変わったことがあればいつでもご相談ください。よろしくお願いします!!