犬の僧帽弁閉鎖不全症はアメリカ獣医内科学会(ACVIM:American College of Veterinary Internal Medicine)によって以下のように病期を分類しています。
ステージA:現時点では心臓に異常はないが、今後心疾患を起こすリスクの高い犬種。キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル、チワワ、トイプードル、ミニチュアダックスフンド、ポメラニアンなどが含まれます。
ステージB1:心雑音や弁の変性、僧帽弁逆流が認められるが、心拡大が認められないもの。
ステージB2:心雑音や弁の変性、僧帽弁逆流が認められ、心拡大が認められるもの。
ステージC:咳や疲れやすい(運動不耐)などの症状があり、過去に肺水腫の治療をしたことがあるもの。
ステージD:あらゆる内科治療に反応が悪いもの
多くの場合、ステージA~B2までは元気で無症状のことも多く、症状がでて発見されたときにはかなり病期が進んでしまっているということもあります。早期発見のためには定期的に聴診器をあてて心雑音がないかを調べることが大切です。また定期的に検査を実施し、心拡大が出てきた時点でピモベンダンという内服薬を開始し、できるだけステージC,Dに陥らないようにすることも重要です。心不全になると様々な危険な病態が起こってきます。一番多く認められる肺水腫は、肺が水びだしになり呼吸ができなくなるため、呼吸困難やチアノーゼ、失神などの症状が認められ、命を脅かす状況となります。苦しい時には落ち着かず伏せたり横になったりすることができず、犬座姿勢となりハアハアしていることが多いです。
自宅でてできる信頼性の高い心臓の検査として、安静時呼吸数があります。ゆっくりリラックスしている時(寝てる時)に胸の動きをみて1分間に何回呼吸しているかを調べる検査です。心臓に負担がある場合や呼吸器に異常がある場合には増加し、肺水腫を起こしている場合には顕著に増えてきます。30回を超えてくるようであれば早めにご来院ください。
心臓や呼吸器の病気は命に直結するため、異常が見られたらできるだけ早めにご相談していただければと思います。何卒よろしくお願い致します。