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猫の流涙症

症例は2歳のラガマフィンです。左眼の涙目を主訴に来院されました。1週間前からの症状でしょぼつきやめやには認められませんでした。くしゃみが少し出ているとのことでした。

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眼科検査を実施しましたが、流涙量が多いこと以外は特に異常所見は認められませんでした。左眼のみ涙が多く溜まっており、排出部である鼻涙管の閉塞が考えられたため、染色液を使って鼻涙管の開通テストを実施しました。

青い光を当てて観察していきます。両眼ともに同じ量の染色液をのせていますが、左眼だけ涙が全然排出されておらず溜まっているのが分かります。5分以上経過しても全く排出されない状況でした。通常であれば右眼のように数秒で涙点から鼻涙管を通り鼻や口の中に流れていきます。

[画像:右眼/左眼]

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診断:流涙症、鼻涙管閉塞疑い

原因としては、先天性の解剖学的な低形成や、鼻炎や口内炎、歯周病などの感染・炎症からくる続発的ものなどが考えられます。稀なものとしては涙点を閉鎖する眼の腫瘍や、鼻涙管の出口を塞ぐような鼻腔内腫瘍などが挙げられます。

 

本症例は1週間前からの急性発症でしたので、まずは感染・炎症を考慮し抗生物質の治療を実施しました。約2週間の治療で良化し、涙は気にならなくなったとのことでした。

涙が溜まっている、流れていかない原因を推測して治療していくことが重要ですね。愛犬・愛猫ちゃんの眼に気になることがあればなんでもお気軽にご相談ください。よろしくお願いいたします。