症例は2ヶ月齢茶トラの仔猫ちゃんです。
今朝からぐったりしているとのことで来院されました。来院時は意識もうろうとしており自力で立てずガタガタ震えている状態でした。各種検査にて、高アンモニア血症がみつかりました。値は917umol/l(基準値:0-95)でした。
すぐに血管確保し点滴と抗生物質の投与を開始しました。幸いなことに治療開始後3時間ほどすると自力で動けるようになり、フードも自ら食べるようになりました。その後点滴をストップしても状態は安定しており、アンモニアの数値も上昇することなく、入院2日目には元気に退院していきました。その後は体重も順調に増え良好に経過しています。
(入院2日目、当院のしらすちゃんと遊んでいます。)
高アンモニア血症が起こる原因は先天的な血管の異常や、肝臓が機能していない肝不全、変な中毒など珍しい疾患があげられます。今回の症例は明らかな原因は特定できませんでしたが、ぐったりしている理由を即座に確認し、それに対してすぐに対処ができたことがスムーズな回復につながったと思います。
仔猫・仔犬は少しの異常でも放っておくと命にかかわることがあります。よく食べ、よく遊び、よく寝ることが普通です。少しでも変わったことがあればいつでもご相談ください!!
初めまして。
先日、生後約一か月の子猫がアンモニア数値が900以上、意識の混濁があり、入院しました。まだ、様子も分からず、心配な状況ではあります。門膜シャントの疑いがあると言われました。お見受けした限りでは、同じ様な症状におもわれ、元気になったとの記事で、私も希望を持ちつつ、明日、病院訪問をしたいと思っております。さて、餌の件ですが、どの様なものを与えていますか?タンパク質、カリウムを摂ると危険と聞きましたが、どのように気を付けられましたか?
力をお貸しください。
コメントありがとうございます。仔猫ちゃんの高アンモニア血症の原因ははっきりと分かっておりませんが、おそらくまだ肝臓や腸管などの臓器が未発達であることや、腸内細菌叢が安定化していないことなどから食物の代謝により発生するアンモニアを解毒できないためと思われます。そのため、成長とともにアンモニアの高値も認められなくなる事が多いです。本症例も一度入院にて治療した後は全く血液の異常や症状はみられず元気に成長できております。5kgくらいになりました!!
高アンモニア血症の中には確かに門脈シャントなどの先天的な血管の異常を持っていることもあると思います。治療後に持続的にアンモニア高値が続くかどうかが重要と思われます。続くようなら確定診断するためにCTなどの追加検査が必要になってくると思います。
フードは原因によりけりですが、本当に門脈シャントなどの肝機能不全があるのであれば蛋白制限食ですが、成長期の仔猫にはあまり奨められるものではありません。本症例は通常の良質な子猫用ドライフードを普通に食べさせました。
しっかりとかかりつけさんと相談し治療方針を決定してあげて下さい。あくまで本人の状態を診察したわけではありませんので一つの参考と捉えて下さい。仔猫ちゃんが元気になることを願っております。よろしくお願いいたします。