症例は13歳雌、白黒の猫ちゃんです。
元気がいつもよりなく、食欲が落ちているとのことで来院されました。以前は5㎏近くあった体重が2.3㎏まで減りかなり痩せている状態でした。各種検査にて、尿素窒素、クレアチニン、およびリンの数値が極めて高く、慢性化した腎不全に陥っていました。併せて細菌性膀胱炎、高血圧が起きていました。
猫ちゃんの腎不全は高齢になるにつれて罹患率が上昇します。元気食欲の低下や、多飲多尿、嘔吐などの臨床症状がみられることがあります。よく見られる併発疾患として、細菌性膀胱炎や腎炎、腎性の高血圧などがあげられます。
治療の主体は水和を目的とした点滴です。本症例は通院にて皮下点滴、および細菌感染コントロールのための抗生剤を実施していきました。最初は毎日通っていただき点滴をしていきます。翌日にはすごく元気になり、ご飯も食べれるようになったとのお言葉をいただいております。その後、状態を確認しながらゆっくり点滴の間隔を伸ばしていきます。週に何回の点滴が必要になるかは個体個体の腎不全の進行度合いによって異なります。現在この日本猫ちゃんは週に2-3回の点滴通院と内服の腎臓薬を続けています。食欲はあり腎臓食のドライフードも食べれています。
(皮下点滴中です。)
高齢の猫ちゃんは腎不全にかかるリスクがあります。また、腎臓は一度悪くなると回復することが難しい臓器です。定期的な健康診断で早期発見・早期治療を心掛けていきましょう。そして、この腎不全の治療は飼い主様の支えなしではやっていきません。できる限り愛猫が楽に生活できるよう一緒にサポートしていきましょう。不安なことがあれば何でも相談してください。