症例は3歳のチワワです。急にガタガタ震えて立てなくなり、うまく歩けなくなったとのことで来院されました。症状をよく聞くと起きていたことはケイレン発作と考えられました。
犬・猫ちゃんの代表的な神経症状の一つにケイレン発作があります。ケイレンの種類には、硬直性ケイレン(四肢がピーンと伸びてガタガタ小刻みに震える)と間代性ケイレン(無意識にジタバタする=遊泳運動)があります。
ケイレン発作の原因は様々ですが、大きく頭蓋内の問題か、頭蓋外の問題に分けられます。
〇頭蓋内疾患・・・脳炎、脳腫瘍、脳梗塞、出血などがあげられます。確定診断には二次診療施設でのMRI(磁気共鳴画像法)が必要となります。全身麻酔が必要となり、検査施設が限られるためすぐに撮ることができないので発作状態の安定化が優先されます。
〇頭蓋外疾患・・・代謝性疾患、腫瘍性疾患、中毒性疾患などがあげられます。血液検査やレントゲン、超音波検査などを実施し、異常が見つかる場合はすぐに対処する必要があります。
本症例は来院時にけいれん発作はおさまっていましたが、やや四肢が硬直気味でうまく歩けない状態でした。臨床学的検査にて大きな異常は認められませんでしたので、ジアゼパム(発作鎮静薬)を静脈投与し、発作状態を鎮静化させました。数日のステロイド剤とゾニサミド(抗ケイレン薬)にて発作をコントロールしながら、二次施設に予約を取り原因追及のためにMRI検査を撮りに行ってもらいました。
結果は脳実質には、炎症や腫瘍、梗塞などを示唆する器質的な異常はなしとのことでした。
診断:特発性てんかん発作
頭蓋内・外ともに何の異常も見当たらず、ケイレン発作が起こってしまうものをいいます。この場合の治療は、抗ケイレン薬を継続していくことで発作が起きないようにしていきます。原因はないため発作のコントロールに務めていくこととなります。本症例もゾニサミドをスタートしてからは良好にコントロールされています。
特発性てんかん発作は犬に比較的多くみられますが、まず原因が他にないかどうかをしっかり精査することが何より大切です。原因がある場合はその治療をしないと発作もコントロールされません。難治性の発作が続く場合はその他の薬剤(フェノバール、臭化カリウム、レベチラセタム、ガバペンチンなど)を組み合わせることもあります。
愛犬・愛猫ちゃんちゃんに変わったことがあれば何でもお気軽にご相談ください。よろしくお願い致します。
はじめまして、9歳柴犬メスです。
3年まえにMRIを撮りてんかんと言われました。病院を4回ほど変わり、ほぼ30日のサイクルで発作が来て12時間の間に3回から4回の発作が来ます。
今は、フェノバール、臭化カリウム、レベチラセタムは1日3回、ガバペンチン、ウルソを飲んでいますが、やはり月1回のサイクルが変わりません。飲み薬ではこれが限界でしょうか?
まろもな様、コメントありがとうございます。愛犬ちゃんがてんかんということで治療についてですが、これだけ内服薬を服用していても発作が月に一回起きているためコントロールがなかなか大変な症例だと思われます。抗ケイレン薬としては、フェノバール、レベチラセタム、臭化カリウムの併用が行なわれています。例えば、用量にまだ増やすことが出来るものがあれば検討されますし、フェノバルビタールや臭化カリウムなど血中濃度が測定できる薬物もあるためしっかり有効量に達しているのかを調べてみるのも必要かもしれません。また、別の抗ケイレン薬としてゾニサミドもありますので、主体となる薬剤がフェノバールとどちらが良いかを検討してみるのもありかもしれません。
その他、補助的なものとしてはてんかん用のフードやサプリメントなども検討されます。どれが奏効するかは症例によって異なるため難しいところですが、ケイレン発作が安定化することを願っております。
あくまで直接診察をしているわけではありませんので一つの参考意見ととらえて下さい。何卒よろしくお願いいたします。