症例は14歳のMix犬です。午後から急に元気食欲なくなり、茶色の液体を吐くとの主訴で来院されました。
超音波検査にて、胃内の大量の液体貯留、および腸内に音響陰影を呈する大きさ1.5cmの異物所見が認められました。異物の前方腸管には液体貯留が認められ、腸閉塞を起していることが示唆されます。
診断：腸内異物、腸閉塞
放っておくと腸が壊死して穴が空き、命に関わる状態に陥ることもあります。
緊急的に手術を実施していきました。腹部正中切開にてアプローチし、異物閉塞を認める腸管を特定し、腸の状態を確認します。腸管の色や血流状態をみて、壊死していないか、穴が空かないかを判断していきます。
腸の状態は比較的良好であったため、ダメージの少ない閉塞部より先の腸管に小切開を加え、異物摘出を行なっていきました。摘出後は停滞している内容物を吸引し、粘膜がキレイに合うように単結紮にて縫合しました。
本症例は胃内にも大量の液体貯留が認められたため、胃にも小切開を加え中の内容物を吸引し、異物がないことを確認しました。
定法通り閉腹し終了です。異物は1.5cm大の植物(アボガド?)の種でした。胃や腸内に停滞している液体も体には毒性があるため、除去する必要性があります。
術後3日目には退院でき、回復はスムーズでした。
腸内異物/閉塞は、緊急性の高い疾患です。閉塞している時間が長ければ長いほど腸管が壊死するリスクが高くなります。持続する嘔吐、ぐったりし食欲が全くなくなる嘔吐は要注意です。人間が知らないところで誤食をしていることもよくあります。
愛犬・愛猫ちゃんに変わったことがあればご相談ください。よろしくお願いいたします。