症例は10歳未避妊雌のMix犬です。ここ最近お股を気にして舐めており、白っぽい液体が出るとの主訴で来院されました。
身体検査にて、乳汁の分泌や陰部の腫脹、および白色分泌物といった黄体期の所見が認められました。左の第3,4乳腺領域に大きさ1‐5mm大の乳腺腫瘍も認められました。エコー検査では、子宮が1㎝大に腫大し、内部は多発した水疱を形成している所見が認められました。
診断:子宮水腫、乳腺腫瘍
避妊手術をしていない高齢の雌犬は、卵巣や子宮の異常を伴って、異常発情を引き起こしたり、乳腺腫瘍を発生させたり、子宮に細菌感染(子宮蓄膿症)を引き起こしたりすることがあります。本症例もその可能性が高く、早期に外科的切除を実施していきました。
卵巣・子宮は開腹して全摘出します。子宮は顕著に発達しており、内腔は水疱が多発していました。
乳腺腫瘍は3-5乳腺の領域切除を実施しました。
病理診断:卵巣嚢胞、嚢胞状子宮内膜過形成、多発性乳腺腺腫
全て良性の病変ですので切除後の予後は良好です。術後3-4年経ちますが再発なく元気に生活できています。
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