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猫の瞼球癒着

症例は3ヶ月のクロネコちゃんです。

3週間前に保護し、めやにと鼻水が良くならないとのことで来院されました。両眼ともに黄色の眼脂や充血、結膜浮腫がひどい状況でした。

診断:猫風邪(猫伝染性鼻気管炎)

この風邪はヘルペスウイルスやマイコプラズマなどが関与するもので、二次的に細菌感染を起して悪化していきます。まずはしっかり感染・炎症をコントロールしていきました。2週間の治療により眼の状態はだいぶ改善しました。

 

しかし、右眼の角膜軽度白濁や左眼の眼瞼結膜と眼球結膜の癒着が認められ、視覚を妨げている状況が残っていました。

診断:右眼慢性角膜炎、左眼瞼球癒着

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成長を待って5ヶ月齢時には、右眼の炎症はほぼ治まっていましたが、左眼は重度に結膜が癒着し眼自体が開きにくい状態となっていました。そのため、去勢手術と一緒に左眼の癒着している結膜を出来るだけ剥がしていく処置を実施しました。

〔処置前〕

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〔処置後〕癒着結膜をフリーにしたことで眼がだいぶ開くようになりました。

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処置後2ヶ月の状態です。左眼中央に白濁が認められますが視覚は戻りました!!12-3時部位に結膜の癒着が残っていることが確認されました。

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再度癒着している部分を切離していきました。眼内を観察したところ虹彩の一部が内側から角膜に癒着しており、中央の白濁はキレイになりきらない可能性が高い事が分かりました。恐らく以前角膜に一度穴が空き内側から虹彩が蓋をして癒着したものと考えられます(虹彩前癒着)。

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現在1歳半の眼の状態です。左眼中央の白濁は残りますが、周りの透明性は保たれ視覚は確認出来ています。右眼の視覚は問題ないレベルなので生活に支障は出ていないようです。

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瞼球癒着は慢性的な猫風邪による結膜炎と角膜への障害が同時に起きた際に起こりうる病態です。結膜同士や角膜と結膜が癒着してしまい視覚を妨げてしまうことになります。本症例は出来るだけ癒着結膜の剥離を実施しましたが、中央に大きな白濁が残ってしまいました。癒着の程度がひどいと完全にキレイになりきらない事も多い疾患です。幸い始めよりはまぶたがしっかり開くようになり、周囲の視覚は保たれ、日常生活は問題なく送れています。

愛犬・愛猫ちゃんの眼に変わったことがあれば何でもご相談下さい。当院は眼科に力を入れております。よろしくお願いいたします。