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犬の白内障

白内障とは、水晶体が色々な原因によりタンパク変性を起こし白濁する病気です。水晶体は虹彩の内側に位置しますので、瞳孔の大きさによって眼が白く感じる度合いが変わることがあります。以下の写真は同時期の同一の眼です。

(左:眼構造図、中:縮瞳時、右:散瞳時)

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超音波検査では、眼の真ん中に位置する水晶体が白く濁ってみえるのが分かります。

(超音波:正常画像)

CATARACT1

(超音波:白内障画像)

IWASAKI KOKO2

白濁の範囲により、初発白内障(全体の15%未満)、未熟白内障(15‐99%)、成熟白内障(100%)、過熟白内障(100%未満)と病態が進行していきます。成熟白内障の段階では真っ白になった水晶体は膨化し、変性した水晶体のタンパクが眼内に漏れ出してきます。この漏れ出たタンパク成分が眼内に強い炎症(水晶体起因性ぶどう膜炎)を起こし、二次的な緑内障や水晶体脱臼を引き起こしていきます。過熟白内障の段階は、うまく炎症がコントロールでき、タンパクが減少し水晶体が薄く平坦化してくる状態となります。水晶体自体が薄くなっていきますので白濁していた部分の透過性が再び戻ってくることもあります。ただ光を集めて像を結ぶという水晶体(レンズ)の機能は失われていますので、はっきりとした視覚の回復とはなりません。

〔未熟白内障〕

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〔成熟白内障〕

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〔加熟白内障〕

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原因は大きく分けて、遺伝性(原発性)、二次性(続発性)、加齢性です。原発性白内障は犬種素因が知られており、A・コッカ-スパニエル、トイプードル、キャバリア、ミニチュアシュナウザーなどで多くみられます。続発性白内障の原因として代表的なものは、糖尿病、腫瘍、進行性網膜萎縮、ぶどう膜炎、放射線障害などが挙げられます。加齢性のものはゆっくり進むものが多いです。

治療は、根本解決には外科治療(超音波乳化吸引術+人工レンズ挿入)が必要となります。当院では白内障の手術対応はしておりませんので、眼科専門医への紹介となります。内科治療としては、視覚の回復というよりは、白内障があることで二次的に起こる炎症や続発症を予防していくという意味合いになります。目薬や内服薬を使用していきます。

 

愛犬・愛猫の目が白く見えるなど気になることがあればお気軽にご相談下さい。何卒よろしくお願い致します。