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犬の難治性角膜上皮びらん(SCCEDs)

症例は9歳のトイプードルです。数日前からの右眼のしょぼつき、濁りに気づき来院されました。

詳しく眼科検査をしてみると、充血や羞明(しょぼつき)に加え、流涙、角膜中央部の白濁、瞬膜の軽度突出が認められ、角膜の傷を染める検査(傷があれば緑色に染まります)にて陽性反応がみられました。

まずは角膜潰瘍として抗生剤とヒアルロン酸の点眼薬にて治療をしました。

しかし、数日後の再診察時にも症状は残り、角膜の傷も縮小はしていましたが治りきっていませんでした。この場合、角膜の傷が治らない原因がないかさらに詳しくみていきます。異物や睫毛の異常、瞼に腫瘤などがないか調べていきます。それでも原因が明らかにない場合、角膜の特殊な疾患を考えます。点眼表面麻酔をし、角膜表面を綿棒にてデブライドしてみると、角膜の傷が最初より拡大していきました。

〔デブライド前〕

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〔デブライド後〕

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(診断)難治性角膜上皮びらん

 

この病気は角膜上皮の接着障害により、角膜実質にうまくくっつくことができず上皮が浮いてしまっており、潰瘍部が治癒しづらい状態にあります。遺伝的な関与が示唆されており、片眼に発症した場合はタイムラグがあり逆眼にも出うる事があります。難治性角膜潰瘍、ボクサー潰瘍、無痛性上皮びらんなどと呼ばれることもあります。

治療はまず浮いてしまっている上皮をできるだけ全部デブライドにて剥がします。しっかり残さず剥がしきることが重要です!!点眼薬は抗生物質、ヒアルロン酸を使用し数日内科的にみてみます。この処置だけで治ってしまう症例もいますが、症状が続くようであれば外科的な対応が必要となります。

 

本症例はデブライドと点眼の治療により3日後にはキレイに治癒しておりました。

眼のトラブル、気になることがあれば何でもご相談ください!!よろしくお願いいたします。