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症例紹介 犬の会陰ヘルニア⑤、尿道閉塞

症例は12歳未去勢♂のダックスフンドです。

昨日、今日と尿が出ておらず元気や食欲が落ち、吐いているとのことで来院されました。身体検査、直腸検査、および各種臨床検査にて肛門右脇に膀胱が脱出し、尿道閉塞状態となっていることが分かりました。

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診断:右側の会陰ヘルニア、膀胱脱出による尿道閉塞

 

会陰ヘルニアは未去勢の高齢オス犬に発生することが多いです。その中でもダックスフンドは後発犬種と考えられます。男性ホルモンの影響により肛門周囲の筋肉が萎縮し、お腹の中とつながるスペースができてしまい、腸管や前立腺、脂肪などの臓器が飛び出してきてしまいます。膀胱が飛び出した場合はおしっこが詰まってしまい数日で命に関わる重篤な状態に陥る危険性があります。

今回の症例はこのまま入院し緊急的に手術を実施していきました。

右側の会陰ヘルニア部にはやはり脱出した膀胱が確認できました。癒着している周囲の組織を剥離し、膀胱は丁寧に腹腔内に戻します。空いたスペースにコーン状に形成したポリプロピレンメッシュを挿入し周囲の筋肉や骨膜、仙結節靱帯と縫合して固定していきます。

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術後は腫脹していた肛門右脇はきれいに収まっています。本症例は未去勢であったため再発予防のため去勢手術も実施しました。

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回復はとても順調で術後2日目には自力排尿も確認できました。レントゲン検査にて、膀胱が正常な位置に納まっていることを確認し退院としました。

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2週間後と1ヶ月後の再診察時には元気な姿を見せてくれました。排尿排便ともスムーズに出来ているとのことでした。

(術後2週間)

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(術後1ヶ月)

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会陰ヘルニアは一般的に腸管や脂肪が脱出することが多く、摘便や内科治療など姑息的に対処することも可能ですが、今回の症例のように膀胱が脱出した場合は緊急的な状態に陥るリスクを秘めた疾患です。可能であれば重症化する前に外科的整復をしっかりすることが推奨されます!!今回は飼い主様が異変に気づき状態が悪くなる前に対処できたことでスムーズに治療が出来ました。本当に良かった良かった。

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