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犬の皮膚肥満細胞腫

症例は8歳のMix犬です。左脇にできたできものが最近急に大きくなったとのことで来院されました。

身体検査にて、左側腹部に大きさ1-1.5㎝大の赤い皮膚腫瘤が見つかりました。針吸引細胞診検査にて、肥満細胞の集塊が多数認められました。その他の各種検査では特に異常所見は認められませんでした。

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(たくさんの細かい顆粒を持つのが特徴です。)

診断名は“犬の皮膚肥満細胞腫”です。

犬の肥満細胞腫は皮膚にできる悪性腫瘍(がん)の中で最も多くみられます。症状は腫瘍細胞に含まれる顆粒の影響で胃・十二指腸潰瘍などが起こり、嘔吐や下痢を起こすこともあります。腫瘍の組織学的グレードにもよりますが、悪性の腫瘍だが早期に適切な外科的処置を行うことで完治が望めるものの一つです。よって、本症例も診断した次の日に手術を実施しました。

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手術は腫瘍から2-3㎝の距離(外科マージン)を確保し、底部も皮下組織を確保し切除しました。摘出した組織は病理検査に供し、グレードの分類や取り切れているかどうかの判断をしてもらいます。術後の経過は良好で、翌日には元気に退院していきました。

 

2週間後の抜糸の際には元気な姿をみせてくれました。病理検査の結果はグレードⅡ/低グレードの肥満細胞腫で、脂肪の組織には一部肥満細胞が浸潤しているとの結果でした。飼い主様と相談し、自己の免疫を高めるサプリメントを使用し、定期的に再発や転移がないかをモニターしていくことにしました。

 

気になることがあればいつでもご相談ください。よろしくお願い致します。