症例は14歳のダックスフンドです。右前足の爪の所を痛がるとのことで来院されました。
身体検査にて、右前肢の第2指先端が赤く腫れており、疼痛も顕著に認められました。レントゲン検査にて、右前肢第2指部の軟部組織の腫脹と、末節骨および中節骨1/2辺りまでの骨融解および骨増成所見が認められました。
骨を破壊するタイプの腫瘍は悪性のことが多いです。外科的切除を実施していきました。
断指を実施しました。指先から第2関節まで(=末節~中節骨まで)を切除しました。指先は血管が豊富で出血も多いため、電気メスを使用し出血コントロールを丁寧に行なっていきました。
術後は指3本となります。疼痛管理を1日入院し、退院できました。
病理検査:爪床角化棘細胞腫
骨は病巣の拡大により圧排性に破壊されていましたが、脈管内浸潤はなく外科マージンもクリアーでした。爪床上皮由来の良性腫瘍ですが、骨を破壊することもあり痛みも伴うことが多いです。また、悪性の扁平上皮癌に転化することも報告されているようです。
自宅に帰ってからはその日から元気に走り回っていたとのことでした。念のため定期的な経過観察は必要ですが、予後は良好と考えられます。悪性転化する前に摘出できて良かったです!!
愛犬・愛猫ちゃんに気になるできものがあればいつでもご相談ください。よろしくお願いいたします!
はじめまして。我が家の8歳になるヨークシャーテリアの女の子なのですが、小さな頃より足裏が赤く全ての指が丸々した指で、いつも気にして舐めている事が多く、アトピーと言われてます。昨年の夏、足裏の症状が酷く免疫抑制剤を薦められ3ヶ月程飲ませたところで激しい下痢と嘔吐をしてしまい中止しました。その後、左手の第一指の爪が急に太く伸びだし、今では4倍位の太さになってしまいました。主治医は原因はわからないとのことで
痛みや発赤は無いのですが心配になり、調べてこちらのブログに出会えました。
詳しく写真ものせて頂きありがとうございます。原因がわかりホッとしたものの、治療を考えると早くに対応した方が良いのか?自然には治らないのか等不安や心配も出てきました。この病気は珍しい病気なのでしょうか?
このまま痛みがないようならば様子をみていても大丈夫なものでしょうか?
一度彩り動物病院へ診察に行きたいのですが、こちらは福島県なので少し距離があるものですから、福島県や栃木県辺りのこの病気に対応出来る病院がありましたら教えて頂けますと助かります。
この子には私が今までとても助けてもらってきたので、全力で守ってあげたいと思っています。突然のお願いで申し訳ありませんが、お時間ありますときにどうぞよろしくお願い致します。
圓谷さま、コメントありがとうございます。
愛犬ヨークシャーテリアちゃんが指の腫脹とのことですね。アトピーによる皮膚炎だけであればこのブログ記事のように顕著に指が腫れあがることはないと思います。見た目やレントゲンによる骨の評価などが必要ですが、爪床に出来るできものとしては扁平上皮癌やメラノーマなどの悪性のものも含まれます。もちろん取って終わりの良性のできものもあります。少なくとも色んな内科治療により長期間改善が認められないようであれば、前述の(良性/悪性)腫瘍性疾患が考えられると思います。悪性のものであれば早期発見・早期治療が第一に奨められると思います。まずはかかりつけさんとしっかり相談し、対応が難しく上診やセカンドオピニオンが必要であれば、近くの二次施設や腫瘍に強い病院を紹介してもらうことをご検討下さい。大切なご家族で心配かとは思いますが、まずはしっかり診断してもらうことが大切です。すいません、福島や栃木の動物病院事情に詳しくないためどこが良いなどのお答えは控えさせて頂きます。何卒よろしくお願いいたします。
あくまで直接診察をしたわけではありませんので一つの参考意見ととらえて下さい。愛犬ちゃんの治療がうまくいくことを願っております。よろしくお願いいたします。
こんにちわ。お忙しい中、丁寧な返信をありがとうございました。一度主治医と相談してみます。このブログにて、モヤモヤしていたものがスッキリとしました。本当にありがとうございます。前向きに、わんこのために出来ることを全力で頑張ります!
初めまして。関西在住。12歳 オス去勢済みの柴犬です。散歩から帰って足裏を見たら
左前足の内側から3本目の黒い指球が赤くパンパンに腫れていて驚きました。
いつから腫れていたのかわかりません。
翌日、アレルギー性皮膚炎と外耳炎で5年近く通院しているクリニックへ(医師は一人で日本獣医皮膚科学会認定医)。
まずは抗菌薬を2種類1週間飲み終えましたが変化なく
再度 クリニックへ。
レントゲン2枚撮影し、見ながら「骨がもやもやしてないので良性に思われるけど・・」と説明を受け、
続けて、腫れている部分に注射器のようなもので吸い取り、この結果は午後にと言われ
午後クリニックへ。
「取れたのは角質だけで、他にはなにもなくて。(医師の手元の書類にはケラチンと書いてありました)現時点では原因不明です」と言われました。
この後どうするか、1,2週間後にもう1度、この注射器の検査をするか
生検をするか、いきなり手術するかの3つからゆっくり選んでくださいと言われた気がします。
(ノート持参してたのに動揺して「せいけん」とだけ書いてました)
帰り道
他の病院でセカンドオピニオンかなぁ?と思ったり
今は結婚して別居の娘は「怖がりだから慣れた今のクリニックで先生を信じたらいいんじゃないの?」
犬は痛がる様子がなくトイレを兼ねた散歩も食事も変わりなく元気なので
考えがまとまらず今になり
お忙しい中、突然で図々しいですが、愚かな飼い主にご意見を頂ければ幸いです。
島田様、コメントありがとうございます。
愛犬柴犬ちゃんの指が腫れているとのことですね。腫れているのは肉球でしょうか?指全体でしょうか?散歩後に急激に腫れてきたのであれば何らかの外傷(例えば虫刺されや異物を踏んだなど)による炎症が考えられますが、その場合は痛みや痒みを伴うと思うので症状と合わないかもしれません。長期的に経過しているのであれば、また内科治療に反応が乏しいようであれば本症例のような腫瘍性疾患(良性/悪性)を考慮する必要があるかもしれません。腫瘍性疾患であれば早期診断・早期治療が重要です。針細胞診でなかなか診断がつかないこともありますし、組織生検して診断をして切る範囲などの手術計画を立てたうえで拡大手術する(2回麻酔処置が必要)、1回目で手術(この場合は断指)し切除した組織で診断および取りきれたかどうかを判断するなど、どの選択をするのかはそれぞれメリット、デメリットを把握する必要があるかと思います。かかりつけさんとしっかり相談し、納得したうえで検査治療をすすめてあげてください。二次施設や腫瘍に強い病院などでセカンドオピニオンを検討することも一つの手段だと思います。
あくまで直接診療したわけではありませんのでひとつの参考意見ととらえてください。愛犬ちゃんの治療がうまくいくことを祈っております。何卒よろしくお願いいたします。
こんばんは。早々に、深夜にお返事を書いていただき、涙が出ました。
ゆっくり何度も読み返して迷いが消えました。明日いつものクリニックへ行きます。
後日、結果などをご報告させていただきます。
ありがとうございました。
こんにちは。翌日クリニックで生検しないで即手術と決めました。2年ほど前に全身麻酔での歯石取りを
するのに直近で2ケ月先だったので今回はいつになるか?と思いましたが
すぐにに手術でき(指の中ほどの予定でしたが怪しいので元で断指)昨日、抜糸し元気です。
病理診断書 左前第4指部腫瘍 低悪性度の線維肉腫 マージン(-)脈管内浸潤(ー)
東之薗 先生に相談しなければいつまでも迷って時間ばかりすぎたことでしょう。
本当にありがとうございました。
島田様、経過のご報告ありがとうございます。断指の手術すぐにやってもらえてよかったです。結果的には低悪性度ではありますが悪性腫瘍に分類されるものですので早期に取りきれて本当に良かったです。線維肉腫は局所浸潤は強いですが転移は少ない腫瘍ですので、かかりつけさんでしっかりマージン確保し切除出来ておりますので根治治療につながるのではと思います。
これからも愛犬ちゃんの健康を願っております。何卒よろしくお願いいたします。