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猫のび漫性虹彩メラノーマ

症例は16歳のMix猫ちゃんです。左眼が変とのことで来院されました。自宅で飼い主様が気づかれた点として、瞳孔の大きさが左右で異なること、そして瞳孔の位置が外側に引っ張られているように見えることでした。ご提供いただいた写真でも左眼の瞳孔の位置が外側にズレているのが確認できます。

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眼科検査にて、左眼の虹彩12∼2時領域に茶色の肉様腫瘤性病変が確認できました。右眼の虹彩にも茶色の色素は認められますが、腫瘤性変化はありません。(画像:右眼/左眼)

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エコー検査でも、虹彩毛様体部に顕著な肥厚が認められ、腫瘍を疑う所見が得られました。

(右眼)

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(左眼)

MUGI2 MUGI1

 

診断:猫の虹彩メラノーマ

猫のぶどう膜に発生するメラノーマは犬のものと違って局所浸潤や遠隔転移を起こしやすい腫瘍です。まだ見えている眼ではありますが、腫瘍が全身へ拡がっていく前に取り切ることが重要となるため、早期に外科的切除=眼球摘出を行っていきました。

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眼球摘出は瞬膜やまぶたも含めて切除し、皮膚同士を閉鎖します。

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術後の回復はスムーズで、翌日には元気に歩き回り、食欲もあり、退院できました。

 

病理診断:猫のび漫性虹彩メラノーマ

この腫瘍は病期の進行度合いにより転移リスクが上昇すると考えられています。本症例は虹彩~毛様体まで進展が認められたため、3/4段階のステージと考えられます。脈管内への浸潤や強膜外への波及は認められず、病変は完全に切除されていますが、定期的な検診が必要になります。

 

術後約2年経ちますが、明らかな転移・再発は認められず、飼い主様のお力添えもあり、元気に生活できています!!

見えている眼を取るというのはとても大きな決断がいると思います。原因が腫瘍であった場合は進行する前に切除しきるということはその後の長生きにつながっていきます。しっかりとした診断、インフォームドコンセントが重要だと感じた貴重な症例でした。もうすぐ20歳!!今後は人と同様、動物でも健康寿命を延ばしていくことも大きな課題になっていきそうです!!

 

変わったことがあればいつでもご相談ください。宜しくお願い致します!