症例は6ヵ月齢の柴犬です。約1週間前から右後ろ脚にびっこがあり、ほとんど着けていない状態とのことで来院されました。
身体検査にて、右後肢は完全に挙上しており、膝周囲が顕著に腫脹していました。レントゲン検査にて、右大腿骨の遠位端が斜めに折れている状態でした。骨周囲は腫脹し、骨膜反応も認められている状態でした。
診断:右後肢大腿骨遠位端の斜骨折
折れてからやや時間が経過しているため、整復固定手術が大変になることが予想されました。
手術は翌日実施しました。顕著に肥厚していた関節包を切開し膝関節にアプローチし、骨折部を確認しました。骨折した遠位端は近位側の側面に癒着し、周囲の支持組織も硬化しており、整復するのに少し時間がかかりました。
用手にて骨折部を出来る限り正常な位置まで持っていき、大腿骨滑車溝中央部より近位に向けて支持ピンを入れて仮固定します。その後、滑車部から2本のクロスピンにて骨折部を固定します。最後に支持ピンを抜いて骨折整復の完了です。
膝関節が正常な動きに戻っていることを確認。かなり内側部の周囲組織が硬化しており動きを制限する可能性があったため、内側の膝関節包を切開-開放し、外側部を吸収糸にて縫縮し矯正しました。最後に皮下組織、皮膚を定法通り閉鎖し手術終了としました。
術後1年経ちますが、元気に問題なく走り回っています!!レントゲンでも若干の弯曲はありますがきれいに整復されているのが確認できます。
骨折症例は発症から時間が経過してしまうと周囲との癒着が起こり整復が難しくなることがあります。そのまま放置するとずれたまま変な位置でくっついてしまい、うまく足が使えなくなってしまうこともあります。早い段階で手術することが推奨されます。
愛犬・愛猫ちゃんに変わったことがあればいつでもご相談ください!よろしくお願いいたします。