症例は10歳のシェルティです。右肩の皮膚に大きなできものがあるとのことで来院されました。
身体検査にて右肩部皮膚に大きさ5-6cmの柔らかい腫瘤が確認されました。針細胞診検査を実施したところ、血混じりの漿液が大量に排出され、一時的に縮小しました。取れた細胞は楕円形の核を持った異型性の少ない上皮系細胞集塊でした。
臨床診断：良性の皮膚腫瘍疑い
できものとしてはかなり大きくなっていたため、飼い主さまと相談し外科的切除を実施してきました。良性病変の可能性が高いため、外科マージンとしては1-2cmの正常組織を確保しました。底部は被膜がしっかり形成されており、キレイに切除できました。
病理検査：毛芽腫 Trichoblastoma（脈管内浸潤なし、完全切除OK）
毛包由来の良性腫瘍で、一般的に頭頚部に発生することが多いようです。悪性所見は認められませんでしたので、切除後の予後は良好と思われます。
体にできものが出来た際にまずやることは、そのできものが良性よりなのか悪性よりなのかを針細胞診検査にてある程度判断し、切除が必要なものなのか残して経過観察しても大丈夫なのかを決定していきます。また、切除するのであればどのくらいの範囲で切除する必要があるのかを考えていきます。良性であれば最低限でよいですし、悪性であれば広範囲の切除が必要になることもあります。
愛犬・愛猫ちゃんに気になるできものを見つけたらいつでもご相談ください。よろしくお願いいたします！！