症例は6歳のMix猫ちゃんです。よだれがひどく口をかなり痛がっているとの主訴で来院されました。なんとか食べれてはいるが暴れているとのことでした。
身体検査にて、口の中全域に重度のびらん・潰瘍が認められました。歯はほとんど残っていないにもかかわらず炎症は重度です。猫エイズや猫白血病といった免疫不全を引き起こすウイルスは陰性でした。
診断:猫の歯肉口内炎
猫の口内炎の原因は正確には解明されていませんが、口腔内細菌叢のバランスが崩れることで発生し、多くは猫カリシウイルスや猫ヘルペスウイルスなどが関係すると考えられています。
少しでも緩和するために、残っている歯を抜歯することで細菌の増殖を抑えていきます。舌にも重度の病変が認められたため、一部切除し病理検査へ提出しました。
下顎の犬歯を残し歯肉の炎症がひどかった他の歯は全て抜歯しました。
術後は炎症を緩和するためにステロイド剤を使っていきました。10日後にはよだれや痛みは落ち着きフードもよく食べれているとのことでした。
舌の病理検査結果は、腫瘍性疾患はなく、びらんを伴う重度の舌炎との診断でした。
猫ちゃんの歯肉口内炎は抜歯のみでは完治するものではないことが多いです。ウイルスに対する免疫力をしっかりつけるために毎年のワクチン接種が推奨されますし、痛みや炎症が再発する場合はうまくステロイドを使っていく必要があると考えられます。
変わったことがあればいつでもご相談ください。よろしくお願いいたします!!