今回は雄犬に多い皮下陰睾(停留睾丸、潜在精巣)のお話です。
通常、正常な個体は体の成長とともに約2か月までには陰嚢内に降りてきます。それがホルモンの分泌不足や、鼠径管の狭窄など様々な要因により陰嚢まで降りてこれない状態を潜在精巣といいます。この潜在精巣には2パターンあり、お腹の中でとどまるタイプ(腹腔内陰睾)と皮膚の下までは降りてきているが陰嚢まで降りてこないタイプ(皮下陰睾)です。
どちらのタイプであっても正常な精巣と比べ腫瘍の発生が10%以上高いと言われています。これは正常な陰嚢内にある精巣に比べ、お腹の中や皮膚の中の環境が高温環境にあるためと考えられています。また5歳を過ぎる頃から腫瘍化する可能性が高くなってくると言われています。よって、若いうちに、腫瘍化する前に、摘出することがたいへん奨められます。
下の写真は右側の皮下陰睾の症例です。
腫瘍化する前に摘出してしまえば何の心配もありません。通常通り生活できます!!
去勢のメリットはたくさんありますが、潜在精巣の個体に関しては腫瘍化する前に摘出するというさらにおおきなメリットを得ることができます。早期の予防が大切ですね!!
気になることがあればいつでもご相談ください。よろしくお願いいたします。