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犬の口腔内悪性黒色腫(メラノーマ)

症例は13歳のフレンチブルドッグです。3か月前から口にできものがあるとのことで来院されました。

口腔内の検診により右内側頬粘膜に大きさ2㎝のピンクの柔らかめの肉様腫瘤が確認されました。腫瘤部の針細胞診検査にて、黒色メラニン顆粒をもった異型性軽度の細胞が多数採取されました。レントゲン検査や超音波検査では明らかな異常所見は認められませんでした。

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臨床診断:口腔内腫瘤、悪性黒色腫疑い(T2N0M0、ステージⅡ)

 

オーナー様と相談し、外科的切除が推奨されますが、しばらくパラディア(トセラニブ)とNSAIDsで経過を診ていきました。一時的に縮小はしましたがやはり徐々に大きくなり表面が自壊し感染を起こし、出血やよだれがみられるようになっていきました。

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初診時から約4か月後に外科的切除を実施していきました。腫瘤の大きさは4㎝程になっており、下顎リンパ節も1㎝大に腫大をしている状態でした。レントゲン検査での肺転移所見は認められませんでした。腫瘤部は確実に取り切れるように正常粘膜組織を1㎝マージンとして皮膚~粘膜まで全層で切除しました。腫大を認めた下顎リンパ節も同時に摘出しました。

〔内側粘膜〕

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〔外側粘膜・皮膚〕

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術後は3日目からドライフードやお肉を問題なく食べれるようになりスムーズに回復していきました。

 

〇病理診断(T3N0M0、ステージⅢ)

口腔内腫瘤:悪性黒色腫 Malignant melanoma(高悪性度)、脈管内浸潤なし、マージンクリアー

下顎リンパ節:リンパ濾胞の過形成、転移性病変は認められず

 

犬の口腔内に発生するメラノサイト由来の腫瘍はすべて悪性に分類され、今回の腫瘍細胞は高度な異型性や高頻度の核分裂像が認められることから高悪性度のメラノーマと判断されました。この腫瘍の特徴としては、強い局所浸潤性と高い転移率が挙げられます。そのため、外科切除後は転移との戦いとなり、化学療法や免疫療法が検討されます。

本症例では完全切除出来ていて明らかなリンパ節転移は認められませんでしたが、決して油断できるものではなく、今後も慎重な経過観察を行っていく必要があります。口腔内悪性黒色腫は腫瘤の大きさやリンパ節・肺への転移の有無によりステージがⅠ~Ⅳに分類され、それぞれの生存期間中央値はⅠ:21か月、Ⅱ:8か月、Ⅲ:6か月、Ⅳ:2-3か月程度という報告もあります。完治を目指すためには、出来る限り小さいうちに発見・切除することが推奨されます。

 

お口の中に気になるできものを見つけたら、いつでもご相談ください。よろしくお願いいたします。