症例は13歳の去勢♂ウェルシュコーギーです。右の内股の大きな膨らみが気になるとのことで来院されました。大きくなりすぎて歩行の際床に擦れるようになっているとのことでした。
身体検査にて、右内股部皮下に大きさ10cmの柔らかい腫瘤が確認されました。表面には擦過傷のような赤みも認められました。細胞診検査では異型性のない脂肪細胞の集塊が採取されました。
仮診断:脂肪腫(筋間脂肪腫)
本人も気にして舐めるようになったため、外科的処置を実施していきました。腫瘤直上を切皮し、腫瘤の皮膜を極力温存する形で摘出を行っていきました。
出来るだけ根本までキレイに露出します。鼠径部の皮下より発生するものでした。
丁寧に閉鎖し終了です。
摘出組織は10cm大のできものでした。
病理検査:脂肪腫 Lipoma
脂肪細胞由来の良性腫瘍です。異型性や核分裂像は観察されず、浸潤性は認められませんので予後は良好と判定されます。
通常、脂肪腫は犬によくみられますがここまで大きくなることは少ないです。本症例のようにQOLを低下させるくらいの巨大化を示す場合は外科的切除が考慮されます。
気になるできものを見つけたらお気軽にご相談下さい。よろしくお願いします。