症例は7ヶ月のポメラニアンです。夕方から何度も吐いているとのことで来院されました。数日前に子供のおもちゃの粘土のような物を少量食べたとのことでした。
身体検査では大きな異常は認められませんでしたが、血液検査にて顕著な急性肝障害が認められ、エコー検査にて胃内に液体貯留と異物を疑う所見が確認されました。白く半円状に映る構造物が異物を疑わせる所見となります。
診断:胃内異物、およびそれに伴う急性肝障害
本症例は、このまま入院にて内視鏡による胃内の確認、肝障害に対する補助療法を実施していきました。内視鏡で胃の中を観察すると赤と緑の丸い塊が確認され、鰐口鉗子にて摘出しました。その後、胃および十二指腸に何もないことを確認しました。
処置後次の日には吐き気も落ち着き、食欲も回復しました。退院後は肝障害の治療として内服薬を用い、1週間経つ頃にはほぼ正常な数値に戻っていました。
今回は胃内の異物がきっかけで肝障害を併発した症例でした。通常この大きさの異物は胃の中にある内は吐き気などの症状を出す事は少ないです。この異物の何が反応したかは分かりませんが、肝障害が起きたことにより状態の悪化が起きたと思われます。最初に原因を除去(異物を摘出)でき、肝障害の治療を行えたことがスムーズな回復につながったと考えられます。
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