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犬の類皮腫

症例は10か月♀のマルチーズです。

生まれつきの右眼の毛が生えたできものを主訴に来院されました。眼科検査にて、外眼角部皮膚から結膜に連続する被毛を有する結節病変が認められました。角膜の一部には毛による刺激で色素沈着が起こっていました。

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診断:類皮腫

類皮腫は先天性良性腫瘍で、通常耳側領域に発生します。角膜、結膜、強膜、瞬膜、眼瞼にも広がっていることがあります。表面から長く粗剛な毛が伸びて、角膜を刺激してしまうことがあります。治療は外科的切除により完治します。

 

本症例は外眼角皮膚および結膜を腫瘍と共に切除していきました。術後としては眼瞼が少し短くなります。

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病理組織検査:毛包過誤腫(類皮腫)、マージンクリアー

過誤腫とは一種の奇形組織で、真の症性病変ではなく、切除により良好な予後が期待されます。

 

2週間後の抜糸時の写真です。少し右眼は小さく見えますが、角膜もきれいになってきており視覚に問題はありませんでした。

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類皮腫は比較的珍しい疾患です。眼に毛が入って角膜を刺激し強い違和感を伴い、痛み(しょぼつき)や炎症(充血)、感染(黄色のめやに)などが問題となることがあります。

愛犬・愛猫ちゃんの眼で気になることがあればなんでもお気軽にご相談ください。よろしくお願いいたします。