症例は13歳のシーズーです。約1年前に耳翼部に発生した扁平上皮癌を摘出されましたが、再び耳介部皮膚に潰瘍病変を認めました。抗生剤等の内科治療では改善せず、痛みを伴い強いストレスを生じていました。
診断:皮膚扁平上皮癌(局所再発)
1年前に摘出された時点では、外科マージンは確保され、腫瘍細胞の脈管内浸潤も認められませんでした。しかし、この皮膚に発生する扁平上皮癌は強い局所浸潤性を示し、再発するリスクのある腫瘍です。今回の潰瘍病変は通常の内科治療では反応せず、腫瘍の再発と判断しました。
外科マージンを広めに確保するために、表面の皮膚病変だけでなく、耳道の一部(垂直耳道)を一緒に摘出する計画としました。垂直耳道直上からアプローチし、耳道軟骨を周囲組織からくり抜くように鈍性剥離します。
水平耳道入口まで露出できたら垂直耳道を切除し腫瘍部と一緒に摘出します。切り離した水平耳道を皮膚と縫い合わせ耳穴を作成しました。
摘出組織は病理検査へ提出しました。
病理診断:皮膚扁平上皮癌
病変は完全切除されており、腫瘍細胞の脈管内浸潤も認められませんでした。1年前の病変と同様のものが認められ、再発病変と考えられますとのことでした。抜糸時には耳穴部分はキレイに治癒できていました。
悪性腫瘍はしっかりマージン確保して切除をしても、ある一定の割合で局所再発や遠隔転移を起します。術後に化学療法などの補助治療を実施するかはご家族としっかり相談をして決定していきます。
愛犬・愛猫ちゃんに気になることがあれば何でもご相談ください!!よろしくお願いいたします。