症例は11歳の未去勢♂のミニチュア・ダックスフンドです。おしりのできものから出血するとのことで来院されました。
身体検査にて、肛門右下の皮膚に1.5cm大の表面自壊し出血認める腫瘤が確認されました。細胞診検査にて、肝細胞様細胞のシート状集塊が採取されました。
臨床診断:肛門周囲腺腫疑い
肛門周囲腺腫は高齢の未去勢雄に多く認められ、男性ホルモンであるアンドロジェン依存性が示唆されています。雌にも発生はみられますが頻度は雄の1/3程度といわれています。そのため、腫瘤の外科的摘出と同時に去勢の手術が推奨されます。
本症例も腫瘤の切除とともに去勢の手術を実施しました。腫瘤は外科マージン1cm程確保し切除しました。
病理診断:肛門周囲腺上皮腫
この腫瘍は肛門周囲腺由来の良性腫瘍である肛門周囲腺腫と悪性腫瘍である肛門周囲腺癌の中間病変に相当するもので、ごく稀にリンパ節転移をすることもあるとのことでした。
2週間後の抜糸時にはキレイに治癒していました。
術後2年半経ちますが再発・転移なく元気いっぱい生活できています。去勢手術を一緒に行ったことで再発予防につながっていると考えられます。身体検査や定期検診は必要となりますが経過は良好です。
愛犬・愛猫ちゃんにできものを見つけたらいつでもお気軽にご相談ください。できものの治療は早期発見&診断・早期治療が重要です!!よろしくお願い致します。