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犬の会陰ヘルニア⑦

症例は12歳のMix犬です。約半年前からうんちが出づらい様子がみられていました。他院にて下剤を使用し内科的な管理が行われていました。

身体検査および各種臨床検査にて、肛門右側に大量の便が滞留しており、直腸検査では両側での筋萎縮および直腸の蛇行が認められました。

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診断:両側会陰ヘルニア

 

会陰ヘルニアとは肛門周囲の筋肉が男性ホルモンの影響により萎縮してしまい筋肉との間にスペースができることで腹腔内の臓器が脱出したり、直腸が蛇行し憩室を作ってしまうことで便の滞留が起こったりする疾患です。ゆえに、去勢を行っていない雄の犬に多い疾患です。基本的には緊急な状態に陥ることは少ないですが、膀胱が反転・脱出し尿が出なくなったり、慢性的に脱出した直腸が薄くなり破れてしまうと重篤化し命に関わる状態に陥ります。そのため、できる限り早急に会陰ヘルニアの外科的整復が推奨されます。

 

本症例も飼い主様と相談し、外科的整復を実施していくこととしました。

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両側ともにヘルニア部のスペースには腹腔内の脂肪のみが脱出していました。脂肪を丁寧に剥離し、お腹の中に戻していきます。

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整復は周囲の筋肉、仙結節靱帯、およびポリプロピレンメッシュにて行いました。メッシュを使用することで再発のリスクを大きく減らすことができるようになりました。

(術前)

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(術後)

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術後の経過はとても良好で次の日には他院できました。2週間後の抜糸時には元気な姿を見せてくれました。便のキレもとても良いとのお言葉を頂きました。

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現在約半年ほど経過しますが再発なく良好に生活できています。会陰ヘルニアは重篤化する前に対処するのが一番の近道です!!

変わったことがあればいつでもお気軽にご相談ください。よろしくお願い致します。