症例は11歳の未避妊メスのトイプードルです。お乳のしこりが大きくなっているとの主訴で来院されました。
しこり自体は1，2年前からあり経過観察とされていました。
身体検査にて乳腺領域に大きさ5mm～最大2.5cmの多発する腫瘤(少なくとも10個以上)を確認しました。体表のリンパ節や肺などへの転移は認められませんでした。エコー検査にて、水腫様に拡張した子宮と、脾臓に3cm弱の腫瘤が確認されました。
診断：多発性乳腺腫瘍、子宮水腫、脾臓腫瘤
どれも外科的摘出・病理検査が根本解決となりうるため手術を実施していきました。
まず開腹し、脾臓にアプローチしました。丁寧に出入りする血管を処理し、腫瘤とともに脾臓の全摘出を行いました。
次に卵巣と水腫化した子宮も全摘出しました。
腹膜を閉じた後に乳腺腫瘍を摘出します。右側の乳腺は全域で腫瘤の発生が認められたため、第1－5乳腺の摘出を行いました。左側は第3－5乳腺部の領域切除を実施しました。かなり広範囲での傷口になっています。
（術前）
（術後）
術後の回復は問題なく、翌日には食欲もあり退院できました。
〇病理検査結果
脾臓：リンパ性結節性過形成、脈管内浸潤なし、外科マージンクリアー
乳腺：すべて良性の乳腺腫瘍、脈管内浸潤なし、外科マージンクリアー
2週間後の抜糸時には元気な姿を見せてくれました！！
脾臓も乳腺も全て良性で外科的マージンもクリアーとの結果でしたので治療は終了です。
愛犬・愛猫ちゃんに変わったことがあればいつでもご相談ください！！
よろしくお願いいたします。