症例は6歳のアビシニアンです。
右耳の慢性的な黄緑色の耳垂れと耳道内のピンク色のできものを主訴に来院されました。各種検査で、耳道内の腫瘤により耳道がふさがってしまい、慢性的な外耳炎を引き起こしていると考えられました。
飼い主様と相談し、外科的に切除をしていくこととなりました。腫瘤は耳道の奥の奥から発生しており、全耳道切除術および鼓室胞切開を実施しました。近くを走っている顔面神経を傷つけないように注意しながら、外耳道とともに腫瘤を切除し、可能な限り中耳内(鼓室胞内)に残存する腫瘤も摘出しました。
摘出した組織の病理検査結果は、”中耳ポリープ”という非腫瘍性のもの(良性のできもの)でした。猫ちゃんの中耳ポリープは、慢性炎症や先天性の要因が原因として考えられています。発生部位が中耳や咽頭部、鼻腔内としばしば完全切除が困難と言われています。
抜糸後も耳の形状はきれいに保たれており、生活の様子も特に変わらず元気に過ごせているとのことです。
今後は症状の再発がないかを注意して経過観察していくことになります。
変わったことがあればすぐにご相談ください!よろしくお願いします。