症例は4歳避妊済み雌のMix猫ちゃんです。鳴き声がかすれている、喘鳴がひどい、呼吸が苦しそうとの主訴で来院されました。
身体検査(聴診)にて喉頭部にノイズ音があり、レントゲン検査にて気管を大部分塞いでいる腫瘤性病変を確認しました。
呼吸器の問題は命に直結していきますので、すぐに酸素ルームに入ってもらい翌日手術を行っていくこととしました。
麻酔をかける際に気管チューブを挿入していきますが、腫瘤病変により気道の大部分塞がっており一番細いチューブを入れてなんとか気道確保しました。手術は喉頭部の気管にアプローチし、内腔を占拠する腫瘤塊を可能な限り摘出しました。
気管の内径がおよそ1-1.5cm程度と考えるとかなり息をするのが苦しかったと思います。
術後翌日から呼吸は安定し、元気になりました。レントゲン検査でも気管を占拠していた腫瘤病変はなくなり気道が確保されました。
病理検査結果:紡錘型細胞肉腫
肉腫は悪性間葉性腫瘍の総称で、一般的に局所浸潤性が強く、狭小な外科マージンでは再発する可能性が高いです。気管内に発生する肉腫の報告は少なく、正確な予後や生物学的挙動に関する知見に乏しいのが現状ですが、今後は慎重な経過観察が必要になってくると考えられます。
術後2ヶ月、元気と食欲は維持されておりますが、喘鳴音は残り呼吸は要注意の状態です。
少しでも本人が楽に過ごせるよう、ご家族と楽しい時間を送れるようお力添え出来ればと思います。不安なことがあれば何でもご相談下さい。よろしくお願いします!!