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犬の会陰ヘルニア①

症例は13歳雄のダックスフンドです。

原因不明の慢性的な大腸炎があり、発熱や嘔吐、下痢、血便、元気食欲の低下、腹部(?)の違和感などがずっと続いている症例でした。過去に左側の会陰ヘルニア整復の既往があり、今回は右側の会陰ヘルニアが認められました。

 

会陰ヘルニアとは肛門周囲の筋肉が緩んでしまい、そこにできたスペース(ヘルニア孔)に直腸やひどい場合は膀胱、前立腺などが飛び出してくる疾患です。この筋肉が緩んでしまう原因として、男性ホルモンが大きく関与しているといわれています。症状は便秘やしぶり、会陰部の腫大といったものがよくみられ、その他下痢や血便、食欲不振、疼痛・違和感などがあげられます。

 

本症例の根本原因が会陰ヘルニアによるものと考え、外科的整復を行っていきました。肛門脇を切開し中を確認します。やはりヘルニア孔は大きく(指が奥まで入ってしまいます…)、周囲の筋肉は確認できないくらい委縮していました。

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ポリプロピレンメッシュを使用し、周囲の筋肉、靭帯、骨周囲組織とメッシュを縫い合わせることで、ヘルニア孔を埋めていきました。テンションをかけても外れないことを確認し、整復終了としました。

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術後の経過ですが、発熱や嘔吐などはなくなり、腹部を気にするという違和感もなくなりました。飼い主様も何より手術する前よりすごく元気になったことを喜んでおられました。下痢~軟便はまだ続きますが、時折塊のうんちも出るようになっているようです。

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本症例は慢性的な大腸炎症状がどこからきているかということで、会陰ヘルニアを疑い整復を実施していきました。すべてがクリアーになればよかったのですが…下痢との戦いは今後も続きそうです。飼い主様としっかりコミュニケーションをとり、じっくり向き合っていこうと思います。変わったことがあればいつでもご相談ください。よろしくお願いします。