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犬の精巣腫瘍(セミノーマ)

症例は10歳のポメラニアンです。

ペットドックにて、左側の皮下に停留精巣があり、その精巣が腫大・腫瘍化しているのを確認しました。正常な位置に存在する右側の精巣は正常な大きさでした。高齢であり、気管や心臓の疾患も認められたため、十分な注意を払い手術を実施していきました。

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腫瘍化した精巣は総漿膜といった膜に覆ったまま切除しました。正常な精巣と比較すると約2倍程の大きさに腫大していました。

術後の経過は良好です。病理検査では、”セミノーマ”という潜在悪性の腫瘍でした。切除縁にも腫瘍細胞は認めず、脈管内浸潤も認められなかったことから、定期的な経過観察を続けていくこととしました。

 

精巣の腫瘍は高齢になるにしたがって発生率が上がります。また、正常な位置にある精巣に比べ、皮下や腹腔内に停留した精巣の方が早く腫瘍化する傾向があるといわれています。よって、若齢期の去勢手術は完璧な精巣腫瘍の予防となり、特に停留した精巣がある場合にはより早めの去勢手術を実施すべきであるといえます。また、去勢手術をすることで男性ホルモンが関与した前立腺の肥大や会陰ヘルニアなどの疾患の予防にもなりますので、健康なうちに去勢手術を実施することが推奨されます。

 

気になることがあればいつでもご相談ください。よろしくお願い致します。