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犬の腎不全

症例は14歳のMix犬です。

腎臓がもともと悪く、吐いて食欲がなくなっているとのことで来院されました。各種検査にて、腎臓のモニター項目である尿素窒素BUN(>130)やクレアチニンCre(11.8)、リンP(>16.1)の著しい上昇が認められ、重度の腎不全がありました。加えて、尿中に細菌感染があり細菌性膀胱炎も起こしていました。

わんちゃんの腎不全は予後は悪く、治療を施しても血液の値が思うように下がらず、食べれなくなり衰弱していく子が多いです。腎臓という臓器は一度機能が低下してしまうと回復させることがとても難しいものです。治療は水和と毒素をできるだけ尿と一緒に外に出していく目的での点滴が主体となります。併せて腎保護作用を目的としたドーパミンの使用、吐き気に対する対症療法を行っていきます。

本症例は入院にて治療を行っていきました。血管を確保しての点滴・ドーパミンの使用、吐き気止め、抗生物質を使っていきました。

入院初日は吐き気が治まらずまったく食べることができませんでしたが、2日目から食欲も出はじめ吐き気も落ち着き元気になっていきました。入院4日目には、血液の数値はまだ高めですが状態はとても安定しており、通院での点滴は続けていく必要がありますが、元気に退院できました(BUN90、Cre9.6、P8.0)。

退院してから状態をみながら点滴の間隔を徐々にあけていき、週に1回にしても腎数値は高めではありましたがとても安定していました(BUN42、Cre3.2)。飼い主様からは元気すぎて困るくらいですとのお言葉をいただきました。現在は通院での点滴も終了し、腎臓の機能をこれ以上悪くしないための腎臓療法食のみを続けてもらっています。

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(先日ホテルをご利用いただいた時のお写真です。尻尾を振って喜んで寄ってきてくれました。元気になってとてもうれしいですね!!)

今回の症例は予後の良くないといわれている腎不全でしたが、その悪化因子としての細菌性膀胱炎、そして腎炎の併発が大きく関与していたと考えられます。腎不全だけでなく細菌感染に対ししっかり対処できたことでここまで回復できたと考えられます。

腎臓は悪くなってしまうと元に戻すことが難しい臓器です。定期的な健康診断をすることで悪くなる前に対応できればベストですね。今後もしっかりサポートしていきます。何か変わったことがあればいつでもご相談ください!